昨日の夢の続きを話そう
「ここで待っててください。あ、なにか飲む? コーヒーとか」


いつものカウンターの前で、私は急いで首を左右に振った。

昼時ではないのに、週末ということもあってか、店内は満席に近い状態だった。
でもきっと、砂岡くん目当てで来てるお客さんもいるんじゃないかな。
だって周囲には彼を目で追う女性のお客さんがすごく多いし、その方々は皆一様に、彼と連れ立って現れた私を一体何者なのだ、といった目で訝しげに見ている。

居心地が悪くって、俯いて入口の方を向いたときだった。


「あれ、香澄⁉︎」


順番待ちのソファに座っていた女性が、目をまん丸にして勢いよく立ち上がった。


「あ、亜美(あみ)……⁉︎」


ばったり出くわしたのは、大学時代の同級生。
私は厨房の方をちらりと確認してから、満面の笑みで手を振る彼女に歩み寄った。


「亜美、久しぶり! お茶しに来たの? ひとり?」
「うん、今はね! 海斗(かいと)がここのフルーツピザが大好きで、テイクアウト待ち。香澄は?」
「うん。私は今日は、現場がお休みで……」


亜美は大学のとき、ゼミが一緒で仲良かった。彼女が会社の同僚と結婚し、四年前に海斗くんを出産してからは遊ぶ時間は減ったけど、割とマメに連絡を取り合っている。


「そうなんだ。現場の仕事、大変なんじゃない? 体はどう? 大丈夫なの?」


亜美は不健康な私の体を上下に見て、心配そうに言った。
おばあちゃんのことがあったとき、私を励ますために海斗くんと遊びに来てくれたことがあった。


「うん、平気平気。それより、旦那さんと海斗くんは?」


話題を逸らすため、私はキョロキョロと周囲を見回した。
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