昨日の夢の続きを話そう
体が固まっていたせいで、まるでゾンビにでも襲われかのように大げさに肩を跳ね上がらせてしまった私に、「驚かせてごめん。何度も呼んだんだけど」砂岡くんは眉をへの字にして言った。


「あっ……ご、ごめんなさい、ぼーっとしちゃって」
「これ、どうぞ」


そして厨房から本当に、野菜の屑を持って来てくれた。テイクアウト用のお洒落な紙袋に入れて。


「ありがとう」


笑おうとしたけど、頬が引きつる。
「どういたしまして」と、砂岡くんはとても丁寧に言って微笑んだ。


帰宅した私は、おばあちゃんの写真に「ただいま」を言って、クッキーをお供えすると、早速ベジブロスとやらを作ってみた。

砂岡くんが分けてくれた袋には、キャベツの芯や、トマトのヘタや、人参や玉ねぎの皮なんかが入っている。
花時計カフェに向かう道中で教えてもらった通りに、両手で持てるくらいのそれらを二、三十分煮込んでみた。強火にせず、野菜が踊るくらいの弱火で。臭みを消すためにお酒も少々投入した。

おばあちゃんが愛用していたホーローの鍋の中で、スープは徐々に、薄い琥珀色になってきた。


「うん、なかなかいい感じ」


ざるで濾して、出来立てほやほやのスープをひとくち味見してみると。


「うっ、マズ……」


とてもじゃないけど、砂岡くんにご馳走になったあのスープとは比べものにならない。


「あ、そういえば。コンソメと塩胡椒で味を整えてるって言ってたっけ」


私は顔をしかめながら、コンソメを探した。冷蔵庫の奥でやっと見つけた開封済みの粉タイプのコンソメは、賞味期限が切れていた。
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