昨日の夢の続きを話そう
♯
家を出たときから、雨が降りそうな空だった。
昨日の天気とは打って変わって、気温がぐっと下がり一気に秋が深まったようだ。昨日からどうも肌寒いと思ってた。
朝、自転車を漕いで現場に向かうと、風はすっかり色づいた葉をからからと揺らし、焦げたような香ばしい匂いがした。
現場で作業していたら、午後になってから、ぽつぽつと雨が降りだした。
小雨だったのでカッパを着て、作業を続行した。
「香澄ちゃん、大丈夫?」
図面を書き終えた土器を、袋に入れて回収していると、前田さんが私の顔を覗き込んだ。
「はい、大丈夫です」
雨と、車道を走る車の音とで、前田さんの声が聞き取りづらい。銭湯にでもいるみたい。
「本降りになる前に、早めに切り上げよう」
「はい」
私は急いで土器を拾った。細かいものもひとつひとつ、丁寧に。
雨にけぶる周囲は視界が悪く、急に雨雲が分厚くなったから暗い。
なんだか酔ったみたいにくらくらするなぁ、と思った瞬間。ふらついた足が、濡れた土で滑った。
__どすん。
「い、痛てて」
転んで両膝を打った私が、よろよろと立ち上がって足をさすっていると、「香澄ちゃん⁉︎」前田さんの大声が耳をつんざいた。
「大丈夫? プレハブに戻ろう」
「は、はい。すみません、大丈夫です」
前田さんに肩を支えられ、私たちはプレハブ小屋に戻った。
頭がしっかり働かないし、体に力が入らない。このままじゃ、前田さんや現場のみんなに迷惑がかかる。
家具店に勤めてたときと同じように……。
せめて飲み物は摂っとくんだったなぁ、と、覚束ない足取りで、私はぼんやりと思った。
あのスープが作れたら。
砂岡くんみたいに、作れたら……。
家を出たときから、雨が降りそうな空だった。
昨日の天気とは打って変わって、気温がぐっと下がり一気に秋が深まったようだ。昨日からどうも肌寒いと思ってた。
朝、自転車を漕いで現場に向かうと、風はすっかり色づいた葉をからからと揺らし、焦げたような香ばしい匂いがした。
現場で作業していたら、午後になってから、ぽつぽつと雨が降りだした。
小雨だったのでカッパを着て、作業を続行した。
「香澄ちゃん、大丈夫?」
図面を書き終えた土器を、袋に入れて回収していると、前田さんが私の顔を覗き込んだ。
「はい、大丈夫です」
雨と、車道を走る車の音とで、前田さんの声が聞き取りづらい。銭湯にでもいるみたい。
「本降りになる前に、早めに切り上げよう」
「はい」
私は急いで土器を拾った。細かいものもひとつひとつ、丁寧に。
雨にけぶる周囲は視界が悪く、急に雨雲が分厚くなったから暗い。
なんだか酔ったみたいにくらくらするなぁ、と思った瞬間。ふらついた足が、濡れた土で滑った。
__どすん。
「い、痛てて」
転んで両膝を打った私が、よろよろと立ち上がって足をさすっていると、「香澄ちゃん⁉︎」前田さんの大声が耳をつんざいた。
「大丈夫? プレハブに戻ろう」
「は、はい。すみません、大丈夫です」
前田さんに肩を支えられ、私たちはプレハブ小屋に戻った。
頭がしっかり働かないし、体に力が入らない。このままじゃ、前田さんや現場のみんなに迷惑がかかる。
家具店に勤めてたときと同じように……。
せめて飲み物は摂っとくんだったなぁ、と、覚束ない足取りで、私はぼんやりと思った。
あのスープが作れたら。
砂岡くんみたいに、作れたら……。