昨日の夢の続きを話そう
「あ、左、です」
「作り直すの?」
「へ?」
「スープ。次も左だよね?」
「う、うん」
「俺手伝うよ。この、灰色の家かな」
「うん……て、ええ⁉︎」
「脇に駐車してもいいの?」
「は、はいぃ……」
会話が成立しているようで、していないような……。
ギアをパーキングに入れて、サイドブレーキをかけた砂岡くんがエンジンを止めた。
「あの、どうもありがとう。聞き間違いだったら申し訳ないんだけど、さっきスープ作りを手伝ってくれる、って、言った?」
「うん。ちょうど、コンソメの代わりになるものなら持ってるしね。それに、いいものがあるんだ」
後部座席に置いてあった紙袋をひょいっと持ち上げた砂岡くんは、人なつこい笑顔を私に向ける。
いいもの、 ってなんだろう?
「どうぞ」
私は鍵を開け、先日の件でよりいっそう建て付けが悪くなった玄関の引き戸を開けた。
「一軒家に住んでるんだ」
「うん。祖母の家なの。古くて寒いんだ」
「そうなんだ。ご挨拶しなきゃ」
「こっちだよ」
居間に案内すると、砂岡くんはおばあちゃんの写真を見てはっと目を見開き、そして静かに手を合わせてくれた。
「ありがとうございます」
「香澄さん、ここで一人暮らし?」
「うん、今はね」
「ふーん」
と、何気なく言った砂岡くんは、不躾ではない程度に居間を一周見渡した。
「昨日作ったベジブロスある?」
空気を変えるように明るい声色で言った砂岡くんを、私は台所に案内する。
冷蔵庫の中からホーローの鍋を取り出した。
「うん、上出来」
蓋を開け、色と香りを確認したのか、砂岡くんは右手でグーのジェスチャーをして、コンロにかけた。
「作り直すの?」
「へ?」
「スープ。次も左だよね?」
「う、うん」
「俺手伝うよ。この、灰色の家かな」
「うん……て、ええ⁉︎」
「脇に駐車してもいいの?」
「は、はいぃ……」
会話が成立しているようで、していないような……。
ギアをパーキングに入れて、サイドブレーキをかけた砂岡くんがエンジンを止めた。
「あの、どうもありがとう。聞き間違いだったら申し訳ないんだけど、さっきスープ作りを手伝ってくれる、って、言った?」
「うん。ちょうど、コンソメの代わりになるものなら持ってるしね。それに、いいものがあるんだ」
後部座席に置いてあった紙袋をひょいっと持ち上げた砂岡くんは、人なつこい笑顔を私に向ける。
いいもの、 ってなんだろう?
「どうぞ」
私は鍵を開け、先日の件でよりいっそう建て付けが悪くなった玄関の引き戸を開けた。
「一軒家に住んでるんだ」
「うん。祖母の家なの。古くて寒いんだ」
「そうなんだ。ご挨拶しなきゃ」
「こっちだよ」
居間に案内すると、砂岡くんはおばあちゃんの写真を見てはっと目を見開き、そして静かに手を合わせてくれた。
「ありがとうございます」
「香澄さん、ここで一人暮らし?」
「うん、今はね」
「ふーん」
と、何気なく言った砂岡くんは、不躾ではない程度に居間を一周見渡した。
「昨日作ったベジブロスある?」
空気を変えるように明るい声色で言った砂岡くんを、私は台所に案内する。
冷蔵庫の中からホーローの鍋を取り出した。
「うん、上出来」
蓋を開け、色と香りを確認したのか、砂岡くんは右手でグーのジェスチャーをして、コンロにかけた。