昨日の夢の続きを話そう
♯


現場ももう、来週には終了で、今までお世話になった感謝の気持ちとトマトのお礼を込めて、前田さんにクマのマスコットが描かれた子ども用の食器をプレゼントした。
大げさなくらい、すごく喜んでくれた。

そんなに簡単にいくってもちろん軽く考えてるわけじゃないんだけど、好きなキャラクターの食器を使って楽しく食卓を囲んで食べてみれば、お子さんの野菜嫌いも少しは軽減されるんじゃないかな？と思って。
砂岡くんの受け売り。

亜美に連絡したら、今度また海斗くんと遊びに来てくれるって。
島中先生のことは、やっぱり直接会って言いづらいから電話で伝えたんだけど、電話口で彼女はとてもじゃないけど真似できないようなひどい言葉で私よりも何倍も怒ってくれて、なんかすごくスッキリした。
気持ちを代弁してもらえて、解ってもらえて嬉しかった。

休憩時間はスマホでハローワークの求人をチェックして、何件か良さそうなところがあったから、現場が終わったらすぐにでも当たってみようと思う。

帰宅したら料理をして、ちゃんと食べてる。
野菜の皮や芯も無駄にはせず、綺麗に洗ってベジブロスを作ってる。

島中先生の荷物も、研究室に送った。
合鍵を返してほしいけど、もうこうなったら建て付けが悪い引き戸ごと交換しちゃおうかなって気になってきた。その方が一石二鳥だしね。

砂岡くんにもらったナスタチウムは……。
大事に取っておくために、栞にすることにした。

ついこないだまでの私は、布団に包まって、泣き腫らして。時が過ぎ、めそめそして、傷が癒えるのを待っていた。
そしたら誰かが手を引っ張ってくれたけど、裏切ったその人も、優しくしてくれたその人も。
どうせ私から離れていく、と線を引いて、ご縁をぞんざいにするとこだった。
< 39 / 147 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop