一途な小説家の初恋独占契約
表参道に着くと、ジョーは一軒のブティックの前で車を停めた。
「この店は、どう?」
「入ったことないけど、素敵ね」
私には縁のないハイブランドだ。
でも、ジョーが普段身につけているものは、品の良いものばかりで、こうしたところで買っているのかもしれない。
ジョーは、臆することなく、ドアマンのいるショップへと私を誘う。
今日も、夏用の涼しげなジャケットに麻のシャツで決まっているジョーはいいけど、サイン会用に歩きやすいローヒールで、くたびれたパンツスーツの私は気後れする。
ジョーは、1階のレディースコーナーを見渡すと、奥へとズンズン進む。
「汐璃。これはどう?」
ブルーのワンピースを手に取ると、私に見せる。
思わず、溜息が出るほど鮮やかな色だ。
「きれいだけど……私のは、いいよ。男性用は、2階みたいだよ?」
「汐璃のを選びに来たんだ」
「え?」
「汐璃を着飾らせて、エスコートするのが僕の夢。叶えさせてはくれない?」
悪戯っぽく笑って、ワンピースを私に当てる。
「そんなこと言っても、浴衣も買ってもらっちゃったし」
「それはそれ。うーん、汐璃には、もう少し柔らかい色の方が似合うかな」
それを聞きつけた店員さんが、淡い花柄のワンピースを差し出す。
見た瞬間、キュッと心臓が跳ねた。
かわいい……!
大輪の花々が大胆に咲く。
ペールカラーだから、大柄でも上品だ。
ふわっと広がるAラインが乙女心を擽る。
「どうぞ、ご試着なさってみてください。着ていただくと、シルエットの美しさが、より一層お分かりいただけると思います」
「汐璃。着てみせて」
ワンピースの魅力と、二人の押しの強さに負けて、試着する。
「……ジョー、どうかな?」
私以外の人へと向けるビジネス用の硬い表情で、店内を見渡していたジョーが振り返る。
私を見ると、瞬時に緩まるその顔が、今は硬いままだ。
「この店は、どう?」
「入ったことないけど、素敵ね」
私には縁のないハイブランドだ。
でも、ジョーが普段身につけているものは、品の良いものばかりで、こうしたところで買っているのかもしれない。
ジョーは、臆することなく、ドアマンのいるショップへと私を誘う。
今日も、夏用の涼しげなジャケットに麻のシャツで決まっているジョーはいいけど、サイン会用に歩きやすいローヒールで、くたびれたパンツスーツの私は気後れする。
ジョーは、1階のレディースコーナーを見渡すと、奥へとズンズン進む。
「汐璃。これはどう?」
ブルーのワンピースを手に取ると、私に見せる。
思わず、溜息が出るほど鮮やかな色だ。
「きれいだけど……私のは、いいよ。男性用は、2階みたいだよ?」
「汐璃のを選びに来たんだ」
「え?」
「汐璃を着飾らせて、エスコートするのが僕の夢。叶えさせてはくれない?」
悪戯っぽく笑って、ワンピースを私に当てる。
「そんなこと言っても、浴衣も買ってもらっちゃったし」
「それはそれ。うーん、汐璃には、もう少し柔らかい色の方が似合うかな」
それを聞きつけた店員さんが、淡い花柄のワンピースを差し出す。
見た瞬間、キュッと心臓が跳ねた。
かわいい……!
大輪の花々が大胆に咲く。
ペールカラーだから、大柄でも上品だ。
ふわっと広がるAラインが乙女心を擽る。
「どうぞ、ご試着なさってみてください。着ていただくと、シルエットの美しさが、より一層お分かりいただけると思います」
「汐璃。着てみせて」
ワンピースの魅力と、二人の押しの強さに負けて、試着する。
「……ジョー、どうかな?」
私以外の人へと向けるビジネス用の硬い表情で、店内を見渡していたジョーが振り返る。
私を見ると、瞬時に緩まるその顔が、今は硬いままだ。