キングの餌食になりまして。



 話したいことも。

 聞きたいことも。

 本当に、本当にたくさんあるのに……。


「綺麗でしょ。ここからの眺め」

「……はい」


 なかなか言葉が出てこない。

 なによりまず、こうして一緒にいられることが嬉しい。


 視線を窓の外に向けて、ふと思う。こんな夜景を眺めるような生活が、彼の当たり前の日常なのだろうかと。


 あたしの日常とはスケールが違いすぎる。

 京極さんと過ごす時間は『初めて』や『驚き』、それから『感動』の連続。


 ……にしても。

 さっきから京極さんの口数が少ない。

 いつも饒舌というか、ほんと黙れって感じなのにそんなの嘘みたいに穏やかにお酒を飲んでいる。


 なんですかその大人の余裕みたいなの。
 あたしはこのあとの展開にドキドキして居ても立っても居られないというのに……。


 色気、やばいです。

 黙っていればイケメンなんてことは散々思ってきたし、わかりきっていたことなのに。

 いざ、ただの超絶イケメンになってしまったら、どう接していいかわからなくなってきた……。


 品性を疑うセクハラモード(通常運転?)の方が絡みやすい……なんてことは絶対に言えない。

< 76 / 112 >

この作品をシェア

pagetop