溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
大事そうにそれを見つめて、優しくぬいぐるみを撫でたルイは、話を続けた。

「…ずっと、美々と一緒にいられると思ってた。でも、ここにいることが出来なくなって、いなくなる前日に、泣いてしまった私に、美々がウサちゃんがルーにぃにといるから泣かないでって、くれたものだよ。美々のおかげで、どんな辛いことも、頑張れた」

そう言って微笑まれ、私は胸の中が、温かくなった。

「…ルイさん」

「…お互い、すっかり大人になってしまったけど、あのときみたいに、美々を抱き締めさせてもらえないかな?今まで私を支えてくれた君に、お礼をかねて」

「…抱き締めるだけ、ですか?」
「…もちろん」

…今、この家の中には、ルイと私の二人だけ。

抱き締めるだけで、終わらないかもしれないなんて思ったりする。

でも、信じてみてもいいかもしれない。

私は両手を広げた。

「…私を抱き締めて下さい」

そう言うと、ルイは嬉しそうな顔をすると、ゆっくり私に近づいて、優しく、優しく私を抱き締めた。

「…本当に今まで、私を支えてくれてありがとう、美々」
「…私は何も」

「…そんな事ない。全てはここから始まった。美々」
「…何ですか?」

「…今度は私が美々の支えになりたい。お父さんを亡くしたときに、傍にいてあげられなかった分、これからはずっと、美々の傍で…」

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