溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
最後通告を受けたルイは、もう何も言葉が浮かばず、自宅へと戻った。

ソファーに力なく座りこみ、頭を抱えた。

どうしてこんなことになってしまったのか?



全ては、澤田汐音が仕組んだことだった。

汐音はルイが好きだった。

会社関係のパーティーで、よく会っていた。

沢山の社長がいるなか、ルイだけが一際目立っていた。

容姿は勿論、立ち居振舞いも、周囲にいる人達への気配りも完璧なルイ。

ルイは、汐音には全く興味も抱いていなかったが、とあるパーティーの時に、ホールスタッフのミスで、ドレスにワインが溢れた。

どうしていいか分からない汐音に気づいたルイは、躊躇うこと無く、助けてくれた。

それからというもの、汐音は度々ルイに話しかけるようになり、少しは仲良くなったと思っていた。

いつかはルイと付き合いたい。付き合った後は、結婚も、なんて考えていたのに、ルイにはもう、心に決めた人がいることがわかった。

どうしても、ルイを自分のものにしたい。

そう考えた汐音は、ゴシップ雑誌に、匿名でルイとの熱愛報道をリークした。

大きな会社同士。

報道が過熱するのに時間はかからなかった。

ルイとは、仕事のことを理由に片時も離れなかった。

ルイの携帯に、彼女からの連絡が来れば、即座に消した。

ルイが彼女に連絡をしようとすれば、その度に適当な理由を作って連絡させなかった。

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