サンタは三人いる

「ーあっ、あの、ね。これ、ほらっ、クリスマスだから……えっ」


いたたまれなくなって、せめて笑い飛ばしてもらおうと慌てて話し出した私を、お兄ちゃんは突然ギュッと抱き締めてきた。


「……よっ、陽太兄ちゃん?」


今まで、頭を撫でてもらったり、手を繋いだことはあったけど、こんなに密着した事は無い。


それだって小さい頃の話だ。ここ何年かは触れてもらった事さえ無かったのに。


「麻里の店は、パティシエにもそんな格好させるの?」


耳元近くで響いた低めの声。


いつもは心地よく身体に届くその声も、すこしだけ刺をはらんでいるように聞こえる。


どうしよう……よく分からないけど、怒ってるみたい……。


「わっ、私ねっ、まだケーキには触らせてもらえないの。だから販売の手伝いをしてたんだけど……あのっ、無理やり着させられた訳じゃないんだよ?」


私は必死で説明する。こんな事でお兄ちゃんに嫌われたくない。



「麻里が良くても……俺が嫌なんだよ」


「……ぅひゃっ」

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