サンタは三人いる
「ちょっと、待ってろ。……玄関には絶対来るなよ」



抱き締められた身体が解かれて、ペタンと床に座り込んだ私に言い聞かせるように言うと、お兄ちゃんはリビングの入り口にあるインターホンへと歩いて行った。



暫くして玄関のチャイムが鳴り、誰が来たか全くヒントにならない「おー」という返事をして、お兄ちゃんは玄関へと向かって行った。




ドッドッドッドッ。




まるで全力疾走した時みたいに、心臓が激しく鳴っている。



お兄ちゃんの表情は真剣で、軽い気持ちでこんな事をしたとはとても思えない。



甘い雰囲気の一つも無い、責められるようなキスだった。



じわり、と目に涙が浮かぶ。



働いている時は何にも思わなかったこの格好が、今は堪らなく恥ずかしかった。



……着替えよう。



リビングの窓を避けるように、身体を隠せる空間を探していると、玄関の方からボソボソと聞こえてきた話し声に身体が固まった。



……女の人の声だ。



時折楽しそうに「ふふっ」と笑う声が会話の中に混じって聞こえてくる。

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