サンタは三人いる
……彼女かも。



そう思っただけで、胸の奥がギュッと軋んだ。



……やっぱりもう、このまま帰ろう。



床に落としたままのコートを手に取って袖を通す。



かたかたと手が震えて、うまくボタンが留められなかった。



もがいているうちに、陽太兄ちゃんがリビングに戻って来てしまった。



「……何してるの?」



眉を寄せて、不機嫌そうな顔をして私を見つめるお兄ちゃん。その手には、綺麗にラッピングされた袋を持っていた。



「……彼女は?」



「もう帰った。元々もう少し早く来る約束だったのに来なかったから、今日はもう来ないかと思ってた」



はぁ、とため息をつきながら話すお兄ちゃんの顔を見ていると、もう帰れって言われているようで悲しくなった。



「……で?何しようとしてるの」



私を見るその目は、変わらず冷たいままだ。


気持ちを受け入れてもらえないのも、本気にしてもらえないのも悲しいけれど、今日来られなかった彼女の代わりに私はここに呼ばれたのかもしれない。



そう思うと余計にショックだった。



……ただの気まぐれ。私はいつまで経ってもお兄ちゃんの妹みたいなものなんだ。


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