サンタは三人いる
マンションのエントランスで、教えてもらった部屋番号を押してチャイムを鳴らす。
暫くして、自動ドアが開いた。
「……ごーまるさん……ごーまるさん」
間違えないように、何度も呟きながら部屋を目指す。
インターホンを鳴らすと、「おー」と一言だけ返事が返って来た。
ドアが開く。ほぼ一年ぶりに見る陽太兄ちゃんが目の前に立っていた。
……ちゃんと食べてる?
……何で一回も家に帰って来なかったの?
……LINEも全然返信が無いんだから!
陽太兄ちゃんに会ったら言ってやろうと思っていた言葉が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
「……久しぶり」
だけど考えすぎた結果、口からは普通の挨拶しか出て来なかった。
「おー」
陽太兄ちゃんからも、さっきの返事とは違う『久しぶり』の気持ちが入った「おー」が聞こえてきた。