素敵な王子様の育てかた。


部屋の中は、しんと静まり返っている。

なのにドクドクと心臓が激しく、うるさく感じるのはなぜだろうか。


国王様と王妃様は、なにも言わずにじっと私を見ていた。

その視線が痛い。

これから掛けられるであろう言葉に覚悟を決めながら、しかしやはり不安は拭えず、それまでの時間が異常に長く感じられる。


……でもこれでいい。

私は堂々と、自分の思いを言えた。


たとえ、もう王子に会えなくなったとしても。


ほんの少し、でも確かに幸せだと思える時間を王子と過ごせたのだから。





だから大丈夫。



なにがあっても私は、乗り越えていけるわ。


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