素敵な王子様の育てかた。
「お、王妃様。これは」
「お待たせしました、新作よ。出来立てのほやほや!この記念すべき日にあなたに渡せてよかったわ。お仕えが終わった後に、ゆっくりと読んで。返す期間を設けないから」
紙の束を持つ手が震える。
それは私にとって、宝石以上に貴重で高価で大切なもの。
「あ、あああ!王妃様!!なんて素晴らしいものを……!」
「だって約束だったでしょう?でもまだ終わりじゃないわ、まだまだ次の作品も執筆中だから、どうかこれからもライトの侍女として頑張って欲しいの。きっとあなたしかあの子の侍女を勤められる人間はいないと思うから。あなたが最後の望みなのよ」
どうしよう、嬉しくて涙が出てしまいそう。
王妃様のためにも、ますます頑張らなくてはと気持ちを新たにする。
「話はそれだけ。仕事中に呼びだしてしまってごめんなさいね。……さて、私も動き始めないと。あの子の気持ちが変わらない前にさっさと決めてしまわないとね」
「動く、ですか?」
「そう、結婚相手。本来ならもっと早くに決めなければいけなかったのだけど、ずっと引き籠っていたから探すこともできなかったの。でもようやく本腰を入れられるわ!」
王妃様の言葉に、はあ、と空の返事をする。
さすがにそれ以上深くは話を聞く身分でもないから、軽く会釈をして部屋を後にした。