素敵な王子様の育てかた。
……そうか、結婚。

忘れていたわけじゃなかったけれど、彼は王子だったわ。
本当なら、相手の方がいてもおかしくないのよね。

ましてや国王になるお方だし、それ相応の女性を見つけなければならないもの、急ぐのも当たり前よね。



ちくん。

突然、胸の辺りが痛んだ。

断続的な痛みではなく、それは一瞬のことだったが。



「……?」

やだ、なにかの病気かしら。
心臓の辺りが痛むって、大きな病気じゃなければいいけれど。

けれどこの感じ、どこかで同じような感覚を味わったような気がする。

それがいつだったか考えても思い出せない。
そうしている間にも時間は過ぎていくことにハッと気づき、私は慌てて廊下を駆けた。

いけないいけない、悠長に考えている暇なんてなかったわ。
まだ仕事中、早く王子の元に戻らないと。

いったん自室に戻り、大事なお話の束を机の引き出しに入れると、王子の元へ向かう。

着いた頃には、王子はすでにさっぱり小奇麗になっていた。


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