王子様とハナコさんと鼓星
「はい。少しだけ。ドラマとか漫画では…」
「ははっ、また出た。ドラマと漫画。そういう政略的な結婚もあるとは思うけど、俺は嫌だから」
「そう、ですか。歓迎されてホッとしましたよ…って、え?」
少しあけた距離を埋めるように社長が自然な流れで近寄って来た。片脚は完全に社長の片脚と触れ合っている。今までで1番近い。
(なんで、近寄って来たんだろう。しかも自然過ぎて気付かなかった)
でも、離れるわけにはいかないよね。社長に失礼だし。別に、いやらしい事をされているわけでもない。緊張で身体を硬くしながらハーブティーを飲む。
「それ、美味しい?」
「はい。ハーブ系は好きです。社長は苦手ですか?全然飲んでませんけど」
「好きだよ。それより、名前が戻ってるよ。2人の時は名前って約束」
(そ、そうだった。つい…)
「ごめんなさい。慣れなくて…気をつけますね。凛太朗さん」
ハーブティーを置いて、コクリと頷く。
これから気をつけないと。気を抜いたら社長って呼んじゃうから。
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