王子様とハナコさんと鼓星


「まぁ、見える事もあるって程度だけど。オリオン側からしたら、アルテミスが誤って放った矢に殺されたって言う神話が有名だよ。それを悲しんだアルテミスがゼウスに願い星座にしてもらった。だから、アルテミスが通りすぎていく黄道の近くに三ツ星の帯を締めた姿で輝いている」


「さすが、お詳しいですね」

「ちなみに、オリオン座の和名ってわかる?」

「えーと…」

(なんだろう。和名なんてあるなんて知らなかった)

首を振り教えて下さいと言えば、凛太朗さんはフォークでケーキをすくい、私の前に差し出してきた。


「鼓星(つづみぼし)って名前。オリオン座の4つの星を中央の三ツ星と結んで、鼓の形に見立てた和名」

「初めて聞きました…って、え?」

「食べて」

「な、なんで…」

また、普通に話をしていたのに。切り替えが唐突で対処に物凄く困る。

「甘い物好きでしょ?俺がオリオンなら華子は蠍じゃなくて、アルテミスかな」

「さ、蠍で十分です。で、では…凛太朗さんも食べて下さい」


負けじとモンブランを取り凛太朗さんに向けた。甘い物が苦手な凛太朗さんは食べるわけないもん。

そう、高を括っていれば迷う仕草一つなくパクリとモンブランを食べ眉をひそめた。
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