王子様とハナコさんと鼓星


「甘い…ほら、華子も」

「え…」

(本当に食べた。食べないって思っていたのに)

凛太朗さんが食べてくれたのなら、食べないわけにはいかないよね。フォークを置いて恐る恐る差し出されたシフォンケーキを食べる。

甘さ控えめで食べやすい。


「美味しいです…」

「そうだね。もう一口食べなよ」

「も、もう大丈夫です」

一口だけでも、こんなにドキドキしている。これ以上は進めない。

背を向けて恥ずかしさを誤魔化すようにモンブランを食べる。


そんな私の背後で「もっと、食べさせてあげたかったのに」と、言われ顔と耳まで真っ赤になってしまった。

距離を縮めるって、大変。針谷さんには応援してもらったけど、この3日で距離が縮まるのかな。

そのような事を考え、結局その日は何もないまま終わった。
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