王子様とハナコさんと鼓星

(帰って来た!)


おかえりなさい。と、玄関に向かいながら言うと、そこには凛太朗さんと針谷さん。

「針谷さん?って、凛太朗さんどうしたんですか?」

玄関とフローリングの段差に腰をかけ俯いている。どこか具合が悪そう。


「実は急な会食があり、飲み過ぎてしまったようです。こちらは鞄とコートです」


差し出されたものを受け取ると、針谷さんはドアノブに手を掛け振り返る。


「では、あとはよろしくお願いします。酔いが覚めたら明日は8時半に迎えに来ますとお伝えください」


「はい。ご苦労様です。お気をつけて」

彼を見送り、凛太朗さんの前にしゃがみ込む。額に手を当て眉間にシワを寄せた明らかに気分が悪そうな顔が見えた。


「大丈夫ですか?ここでは寒いので取り敢えずリビングに行きましょう。立てますか?」

「あぁ、うん…」

壁に手をついて立ち上がり、こんな時でもスリッパを出して履いてからリビングに向かう。


倒れてしまわないか不安で、先回りしてドアを開け凛太朗さんが中に入ってからドアを閉める。

重い足取りでテーブルの椅子を引いて座り背もたれに寄り掛かり目を手で覆った。
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