王子様とハナコさんと鼓星


頭に顎を乗せ、更に抱きしめる力を込められてしまい、反射的に目をぎゅうと閉じた。


(り、凛太朗さん物凄く酔ってる!と、言うか…お酒臭い!)

「あの、こんな事より早くお休みにならないと、明日もお仕事ですよね?」


「いいんだよ。久しぶりのスキンシップ。針谷に言われて暫く抑えていたんだから」

「…え?」


「聞いたよ。華子が俺のスキンシップにキャパシティを超えているって言っていたって。酷いよね、こんなにも紳士に接しているのにさ」


(針谷さん、あの時の話を凛太朗さんに言ったの?だからこの数日ハグ以外の事はなく、変な事も言って来なかったんだ)

「えっと…」


「スキンシップが激しいって、そうかな。なにが不満なの?」

「ふ、不満なんてありません。ごめんなさい、恋愛経験があまりないので、異様に緊張してドキドキしちゃうんです。凛太朗さんみたいな…素敵な人と一緒にいて触られると…」


「それは狡いよ。酔った勢いで言うけど。本当は休みの3日間のどこかでキスくらいはしようかと思ってたのに、おかげで何も出来ない」


はー!と、大袈裟に息を吐いてから肩に手を置いて身体を離す。
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