王子様とハナコさんと鼓星
「意識しまくりでいいのよ。だって、両思いなのよ?明日の報告を楽しみにしてる。ふふふ」
「桜、顔が悪いって」
肩の手を引き離し、彼女を睨む。
「だって、嬉しいんだもん。華子がやっと誰かを好きになって、踏み出してくれた事がさ!」
引き離した手はまた私の肩に回る。仕方がなく受け入れると、耳元でずっと微笑んでいる。
「まぁ、まだこれからだけどね。でも、凛太朗さんは優しくて頼りになる。たまに傲慢で子供みたいだけど…好きかもって思った気持ちはキスをしたら「かも」じゃなくなった。聡くんとは違うあの人を信じて、これからもっと頑張るね」
「うん。でも、頑張り過ぎはダメだよ。何かあったら相談してよ。なんて、また来週からコンテストの練習で残業が続くんだよね〜」
「そう言えば、二階の飴細工みたよ。綺麗だった」
「ありがとう」
その時、裏玄関の扉が開き針谷さんが姿を現した。私達を交互に見て会釈をする。桜に手を振り針谷さんのもとに駆け寄り車に乗り込んだ。
「よろしいのですか?お友達とお話しされていたのでは」
「大丈夫です。運転お願いします。また、スーパーに寄りたいんですけど良いですか?」
「はい」
その後、針谷さんのお供でスーパーに立ち寄りマンションに戻った。