王子様とハナコさんと鼓星
「すみません。ありがとうございます」
「心配だからだよ。信じてないわけじゃないからね。そうだ、お土産は何がいい?」
「ヨーロッパは行った事がないので、何があるのか…貰えるものなら何でも嬉しいです」
そう言えば、食べていた手を止める。
「欲がないね。宝石とかブランド物のバッグとかさ」
「そう言うのはよく分かりません。それなら、本場のチョコレートが食べたいです」
「ははっ、そんなものでいいの?まぁ、華子らしいよ。そういう所が好きだよ」
止めていた手を動かしまた食べ始める。サラッとドキドキするような事を言うんだから。帰って来てから、平然としていたのに…不意打ちは狡い。
「あ、そうだ。まだ5日も先の話だけど、毎日電話はするからね。あと、1人が寂しかったら友達でも家に泊めてもいいよ」
「え、良いんですか?」
「もちろん。あ、でも男は禁止」
「は、はい」
(嬉しい。久しぶりに桜と飲めるかも。凛太朗さんと会えないのは寂しいけど、楽しみ)
「なんか、嬉しそうだね」
「い、いえ。そうだ、ヨーロッパはどんな所ですか?」
「ん〜…楽しい所だよ」
その後、凛太朗さんからヨーロッパについて色々な事を聞きながらご飯を食べて、疲れているのにも関わらず片付けを手伝ってくれた。