王子様とハナコさんと鼓星
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「じゃあ、いってくるね」
「はい。お気をつけて」
その翌朝も。
「おやすみ」
「おやすみなさい…」
その日の夜も…
「じゃあ、行くね。今日は営業会議の後に支配人達と出張時の打ち合わせがあるから遅くなるかな。ご飯は食べてくるね」
「分かり、ました…」
その次の日の朝も。夜も。また次の日、次の日も計4日間、以前の時と同じように私に一切触れない日が続いた。何より今度はハグもない。
「はぁっ…なんなんだろう」
凛太朗さんが日本を立つ前日、私は仕事中に大きなため息を吐いて手を止めた。かれこれ、今日吐いたため息は10回以上。
このままで良いのかな。そう考えて行動に移そうにもそんな勇気は出てこなかった。
いや、正確には凛太朗さんの目を見つめて気持ちを訴えても微笑んで終わる。抱きつこうと思った時はお風呂に行くとか電話して来るとか言われ避けられた。
(流石にこれは落ち込むんだけど…)
もう一度ため息を吐いてから掃除が終わったトイレを出て次の階に向かう。そして凛太朗さんの事を永遠と考えながら気付けば1日が終わってしまった。