王子様とハナコさんと鼓星
「そっちは、寒いですか?こっちは今は雨が少し降っています」
『こっちは晴れてるよ。 あ、そうだ。昨日綺麗な絵手紙を見つけたからエアメール送ったよ。女の子に手紙とか初めてだから恥ずかしかったけど。こっちのマネージャーにからかわれたから』
「楽しみです。そちらの方には…結婚の事は」
『到着早々はなしたよ。華子に早く会いたいってさ』
「え、ええ…では、そっちの言葉を勉強しないと」
『そうだね。俺が帰ったら、手取り足取り教えてあげるよ』
変な意味ではないのに、なんかいやらしい事を想像してしまう。もうさっそく凛太朗さん不足なのかな。
「では、お願いします」
そのあと、15分ほど話してから電話を切った。久しぶりに声を聞けて嬉しかったけど、その後に襲ってくる寂しい気持ちは眠りにつくまで消えることはなかった。