王子様とハナコさんと鼓星


***

「これ、可愛いよ」

翌日、桜にマンション近くまで来てもらい秘書の風間さんの運転で近場のショッピングモールまで連れて来て貰っていた。

吹き抜け式の5階建て。その2階には1ヶ月ほど前に欧米から日本に進出して来た雑貨店がある。そのいっかくで食器を手に笑顔で私の方を振り向いた。


「本当だ。可愛い」

「このフォルムがいいよね。ケーキとか盛り付けるといい感じになりそう」

少し歪な形のお皿を四方八方から見て、そっと置いてあった場所に戻す。

「こっちのグラスも可愛いよ」

「このキャラクターって…このお店オリジナルデザインだって」

「本当だ。でも、これって…飲み口が狭いから洗うのとか大変そう」


キャラクターが印刷された洋ナシ型のグラス。オリジナルという事もあり中々の値段。

桜の言う通り、飲み口が狭いから洗うのは大変かもしれない。

そうだねと返答すると「職業的に見ちゃう」と失笑していた。


その後も一通り5階まで歩き回り、気に入ったものを購入。お昼の時間になった為、二階のフードコートに移動してそれぞれ食べたい物を購入して窓際のテーブルに腰をおろした。
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