王子様とハナコさんと鼓星


(痛い…身体が…痛い)

全身に広がる物凄い痛み、耳から鼓膜を揺らす人々の騒めき。

そして、視界はぼやけて居るのに何故か真っ赤な赤が見えた。

(一緒だ…あの時と…なんで…)

身体を起こして小刻みに震える手で顔に触れる。ヌルっとしたような、風邪を引いた時に出てくる鼻水みたいな感触。


(これって…血だ…)

そっと階段を見上げると、もうそこには聡くんはいない。良かった。ホッと胸を撫で下ろせば人々の騒めきの中から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「華子!ちょっ、どいて…華子!」

「…さく、ら…」


人混みから滑り込むように私の前に座り顔を覗き込む。目が合った瞬間、目の前がグルグルと歪み意識を失った。
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