王子様とハナコさんと鼓星
「華子…ごめん…私が華子を1人にしたから」
目元が真っ赤。相当長い時間泣いていた事は安易に予想出来た。
「そんな事ないよ。そばに居てくれてありがとう。あのさ、私…桜が呼ぶ声は聞こえたんだけど、それからよく分からなくて…桜が病院に?」
「う、うん…っ…風間さんも外で待っていてくれて…」
「そっか。ありがとう」
震える肩に手を伸ばす。トントンと数回叩く。両手で目を何度も擦り、桜は私を見上げた。
「華子…聡くんに会った、の?」
「え?」
「こうなったの、聡くんのせいでしょ!?私、見たの!トイレから出てた時に聡くんが顔を真っ青にして走っていた姿!」
声を荒げる桜の問いに、答える事が出来なかった。その沈黙が何を物語っているのか桜は察しがいいから分かっていると思う。
「最低…信じられない。なんなの、また華子をこんな事に巻き込んで、許せない。許せないよ…なんで、また…悔しい。華子を守れなかった自分が不甲斐ない!」
「桜…」
嬉しかった。そんな風に言ってくれる人がそばに居てくれて。手を伸ばしてそっと桜の頭を抱えるように抱きしめる。
「よしよし。大丈夫だから、ありがとう」
「う、ううっ…なんで私より辛い華子が私を慰めるのよ。ばかっ」
「うん」
それから先生が来るまで、桜は泣いていた。そんな姿を嬉しいと思っていた事は秘密。