王子様とハナコさんと鼓星

やっぱり、知らない番号なんて出るものじゃない。

でも、話さないと言っても…どうやって誤魔化したらいいの?凛太朗さんに会えばこの行き場のない感情が溢れて泣いてしまう。問い詰められ結局、知られてしまう。


私が言わなくても、風間さんや会長とか義母さんとか寧々さんとかから聞いたら?

「どう、しよう…」

テーブルに顔を伏せる。安易に言わないなんて言ったけど、いい方法なんて浮かんで来ない。



「うっ…」

もう、嫌だよ。どうしたらいいのか、分からない。

顔を覆い、声を抑えて涙を流した。目が真っ赤になるまで泣くと日が暮れていた。凛太朗さんが乗っている飛行機は夕暮れを過ぎた時間に到着する。

あんなに会いたかったのに、会うのが怖い。会って、どうしたらいいのか分からない。


モヤモヤと私の心は乱れる。その苦悩に耐えられなくなり、私はスマホを取り出し悩んだ末に電話を掛けた。
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