王子様とハナコさんと鼓星


***

翌朝、寮母さんに見つからないように寮を出で近くのカフェで朝ごはんを食べて出勤する。


今日は主任とペアでのトイレ掃除。私が上の階から降りて来る事になり道具を持ってエレベーターに乗る。


結局、朝になってもモヤモヤが晴れる事はなかった。なんて誤魔化そうとか色々考えた。

でも、いい方法や言い訳なんて思い浮かんで来ない。一層の事、本当の事を幻滅されるのを覚悟で話してしまえばいいとも考えた。


考えれば考えるほど凛太朗さんに会いにくい気持ちは募っていくばかり。

なんか、ここまで来ると何で悩んでいるのかも分からない。

「…はぁ」


と、言うか…もう会社に来ているかな。今日は上からで良かったかもしれない。二階からなら顔を合わせる確率は高い。

取り敢えず、考えるのも大事だけど…仕事に集中しよう。

午前中、私は出来るだけ考えないように仕事に集中した。でも、やはり無駄に色々な事を考えてしまい答えなんて纏まらない。


ため息ばかり吐いている自分が惨めだった。

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