王子様とハナコさんと鼓星


シャワーを頭から浴びて、心の準備を整える。怖いけど、聡くんなら大切にしてくれると思う。

これから起こる事を考えて、身体を念入りに洗い部屋に戻った。入れ替わるように聡くんもお風呂にはいる。

ガタガタと聞こえる物音。それがやけに鮮明で30分ほど入っていただろうに、私には5分程度に感じていた。


それからは、事の流れは早かった。

寝具に座らされ、ゆっくりと押し倒された。ネットや友人の話や漫画やテレビでそれなりの知識はあったけど、そんなの何の役にも立たなかった。

聡くんにリードされるがまま彼を受け入れる。頭で考えていたものとは大分違った。


真っ白になるとか、身体の力が入らないとか、苦しくなるとか…そんな事は思わなかった。

ただ、初めては『痛いけど…こんなものなのかな?』そんな印象で一夜を過ごした。




『それは…誰でも初めてはそういうものよ。思っていたものと違うって』

翌日、学校の仲が良い先輩にその事を話した。と、言うより…様子がおかしい事を悟られ問い詰められたと言ったほうが正しいかも。
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