王子様とハナコさんと鼓星


「ぜ、全然羨ましくないよ。緊張したし、変な事言ってくる。車から降りる時なんて、誰かに見られないかとハラハラして生きた心地がしなかった」


「でも、助かったんでしょ?王子様、プリンスなんて異名は間違いないわね〜」


「そうだね。乗せて貰えなかったら1時間では帰れなかったよ」


だから、本当に助かったと思っている。またお礼を言いたいのに、あれから会えてない。会いたくない時は嫌でも会うのに。


「ねぇ…やっぱりさ」

「それはないと思う!」

「なんで!まだ、何も言ってない!」

お椀を置いて、ひじき炒めを食べる。


「わかるよ。社長が気があるとか言うんでしょ?ないってば。社長の周りには美人が沢山いると思うから」


「そう言えば…1ヶ月くらい前に…ペストリーの方に社長が女の人を連れてケーキを買いに来てた気がする。スラッとしたモデルみたいな人と」


桜がいるペストリー部門はカフェと提携してケーキも売っている。これが高いけど大人気。テレビや雑誌でよく見かける。


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