王子様とハナコさんと鼓星


戸惑い、なかなか手を取らないでいると、ニコニコの笑顔は消え今度は失笑しながら少し強引に手を握られた。


「こっち。足下気をつけてね」

「は、はい」

(手、握られてる…)

肌寒いせいか、手も少しだけ冷たいのに身体の芯だけは暖かい気がする。


公園の中を2人で会話なく歩く。街灯は所々で点灯していないものもあった。


人なんて勿論いない。少し不気味な感じがして怖くなると、階段にたどり着きそれを登っていく。


「大丈夫?この階段、結構急だからさ」

「はい。大丈夫ですよ」

手を引かれ、一段一段登って行き全て登り終わると少し開けた敷地についた。


街灯の数は僅か二本。その灯から離れた場所には木のベンチが2本1列に並んでいる。


社長はなにがしたいんだろう。

何を考えているのか全く持って真意が理解出来ない。そう思いながらついて行けば、ベンチの前まで移動して腰を下ろす。

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