Dangerous boy
二十歳って、大学生?

ここはバイト?

でも、バーテンダーだって言ってたよね。

学業とは、両立できてるの?

心の中で、口に出せない質問が、浮かんでは消えて行く。


そして、いつの間にかお店の外に出ていた。

「今日は、有難う。」

高藤部長に、お礼を言われるなんて、入社以来初めてかもしれない。

「いえ。私こそ、奢って頂いて有難うございました。」

部長からお礼を言われているんだから、それ以上に私は頭を下げる。

「ううん。そんな気にしないでさ。」

何だかちょっと、部長は照れているみたい。

「好きな子に、奢ってあげたいと思うのは、当然だし。だからその……君はそれだけ特別って事で……」

また心臓が、トクントクン言い始める。


でも、宮島君に感じた、あの胸を大きく打つ鼓動はない。


「それで……その……返事は……」

私は、ギクッと鳴る。

それは逃げている証。

「えっ……と……」
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