Dangerous boy
- あんたの気持ちは、そこにあるの? -

急に尚太君の言葉が、頭の中に浮かんだ。


「部長……」

「どうした?」

「お返事、しばらく考えさせて頂いて、よろしいですか?」

高藤部長は、茫然としていた。

そうだよね。

こんな素敵な人に”付き合ってくれ”って言われて、返事を保留にするなんて、馬鹿もいいところだ。


「とても、光栄だと思っています。部長みたいな方に好かれて。でもだから余計、中途半端な気持ちで付き合うなんて、失礼だと思うんです。だからっ!」

「分かったよ。」

私は、部長の顔を見た。

さっきの優しい大人の顔だ。

「倉本って、意外と真面目なんだな。」

そう言って、微笑んでくれている。

「いいえ……いつもは、本当に適当で……」

「うん、知ってる。」

「えっ!!」

私が驚くと、部長ははははっと、笑っていた。

「でも、異性に対して真面目なのは、いい事だと思う。」
< 19 / 171 >

この作品をシェア

pagetop