Dangerous boy
「はい……」

「それに……その言葉を聞いて、もっと好きになったよ。」

なんだか今日の部長は、一緒にいると、頭の後ろと言うか、首元がくすぐったくて仕方がない。

これが、女としての幸せって奴なんだろうか。


「家まで送るよ。」

「有難うございます。」

私が頭を下げると、高藤部長はタクシーを探しに行った。


頬に手を当ててみる。

顔が熱い。

体も火照ってる。

あのカクテルのせい?

それとも、部長に口説かれたから?


なのに、私って可笑しい。

頭の中に浮かんだ顔は……


カクテルを作る、尚太君だった。


「倉本!タクシー来たぞ!」

「は、はい!」

部長に呼ばれて、走ろうとしていた時だ。

急に階段を降りてくる人がいた。


「あっ、いたいた。」

その人は、私に向かって走ってくる。

その姿を見て、ドキッとした。

尚太君だったからだ。


「まだお店の近くにいてよかった。スマホ、忘れてた。」
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