副社長と秘密の溺愛オフィス
「はい、ありがとうございます」

『資材置き場なんだがね、あの管理の仕方ではまずい。早急に改善が必要だ』

 いつもの癖でメモを取りながら、電話を続ける。

「では、明日――」

『明日では遅い。こういうことはさっさとやるべきだろう?』

 もしかして嫌がらせ?

 具体的なことは何も言わずに、ただ見てこいという。しかし今日はすでに紘也さんもいないし、どうしたらいいのだろうか?

『今日行かないなんて言わないだろうな?』

 悩んでいる間に、行かざるを得なくなってしまった。

「わかりました。確認して明日にでもご報告します」

 わたしは電話を切ると、急いでデスクの上を片付ける。紘也さんの電話に連絡するが留守電になって繋がらない。

 仕方ない。とりあえず現場に向かおう。折り返しの電話で指示をあおぐか、最悪写真を撮って見せて問題点の洗い出しを一緒にしてもらうことにしよう。

 そうと決まれば早く現場に向かわなければ。

 わたしは会社を出て、タクシーを止めると現場に向かった。

< 147 / 212 >

この作品をシェア

pagetop