副社長と秘密の溺愛オフィス
返事をしない彼女の名前をもう一度呼ぶ、すると次は勢いよく振り向いた。

「おはようございます。副社長」

 ビジネスライクな挨拶。泣きはらした赤い目。彼女の中で何かがあったことは容易にわかった。けれどその理由がわからない。

 いったいどうしたっていうんだ。昨日なにかまずかったか?

 記憶をたどっても、ただただ幸せな時間だったとしか俺には思えない。それなのになぜ明日香はこんなにも悲しそうなんだ。

「こっち来て。話をしよう」

 俺は副社長室に彼女を呼び話をしようとした。だがしかし――。

「わたしは、これから秘書課のミーテイングがありますので」

 その場を離れようとする明日香の腕をにぎった。

「そんなものどうでもいいだろ? 俺たちにはもっと大切な話がある」

 ふりほどこうとする明日香の腕をより強くにぎった。何があっても離すつもりなんてない。

「わかりました。では、ここでお話しましょう」

 完全に主導権が彼女だ。思いつめた様子の彼女にこれ以上なにか言っても押し問答になるだけだろう。
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