副社長と秘密の溺愛オフィス
家柄に釣り合っていないのは自分でも自覚している。先日の様子から反対されてはいないと思っていたけれど、こんなふうに歓迎される理由がわからなかった。
「お母様は、彼女――明日香のこと、受け入れてくれるんですか?」
思いきって聞いてみた。答えを聞くのが怖くて思わずごくりと唾をのみ込んだ。
「お母様? まぁ、いいわ。明日香さんのことね。わたしはあなたが彼女を選んだとき『よくやった!』って思ったわよ。これまで噂になったオツムのゆるい女の子たちとはレベルが違うわ」
「そうでしょうか? 地味ですし、育ちも――いいとは言えないですから」
自虐的だと思うが、本当に聞きたいことだ。
「あなた、自分の婚約者にむかって失礼よ! それにあなたいつも実家で仕事の話をしていると『乾が、乾が』って言ってたじゃないの。あなたが女の子の話をするのは彼女のことぐらいでしょ。こうなると思ってたのよ。やっと手に入れた相手なんだから、大事にしなさいよ。わたしたち家族は、あなたが本当に好きな人と結婚してくれることを、心からうれしいと思っているのよ」
紘也さんが自宅でもわたしの話をしていたなんて、意外だった。
「あなたは迷うことなく甲斐建設に入社したでしょう? 幹也みたいに本当にやりたいことがあったんじゃないかって、時々思うの。
だから結婚ぐらいは自分の好きな人とするべきだと思う。
それにね、甲斐建設の息子の妻という肩書だけであなたと結婚したがるような女の子では、甲斐の家の嫁はつとまらないわ。
着飾ってお金を使いたいだけ、楽して生活したいだけの子には無理なのよ。夫と同じ方向を見て、同じ夢を持っている相手じゃないと。
明日香さんはそれができる人よ。控えめだけれど、しなやかで、愛情深い人だわ。お父さんも彼女だから二つ返事で結婚を許したんだと思う」
「お母様は、彼女――明日香のこと、受け入れてくれるんですか?」
思いきって聞いてみた。答えを聞くのが怖くて思わずごくりと唾をのみ込んだ。
「お母様? まぁ、いいわ。明日香さんのことね。わたしはあなたが彼女を選んだとき『よくやった!』って思ったわよ。これまで噂になったオツムのゆるい女の子たちとはレベルが違うわ」
「そうでしょうか? 地味ですし、育ちも――いいとは言えないですから」
自虐的だと思うが、本当に聞きたいことだ。
「あなた、自分の婚約者にむかって失礼よ! それにあなたいつも実家で仕事の話をしていると『乾が、乾が』って言ってたじゃないの。あなたが女の子の話をするのは彼女のことぐらいでしょ。こうなると思ってたのよ。やっと手に入れた相手なんだから、大事にしなさいよ。わたしたち家族は、あなたが本当に好きな人と結婚してくれることを、心からうれしいと思っているのよ」
紘也さんが自宅でもわたしの話をしていたなんて、意外だった。
「あなたは迷うことなく甲斐建設に入社したでしょう? 幹也みたいに本当にやりたいことがあったんじゃないかって、時々思うの。
だから結婚ぐらいは自分の好きな人とするべきだと思う。
それにね、甲斐建設の息子の妻という肩書だけであなたと結婚したがるような女の子では、甲斐の家の嫁はつとまらないわ。
着飾ってお金を使いたいだけ、楽して生活したいだけの子には無理なのよ。夫と同じ方向を見て、同じ夢を持っている相手じゃないと。
明日香さんはそれができる人よ。控えめだけれど、しなやかで、愛情深い人だわ。お父さんも彼女だから二つ返事で結婚を許したんだと思う」