副社長と秘密の溺愛オフィス
「あ――ありがとうございます」

 まさかこんなに自分を評価してくれているなんて、思ってもみなかった。きちんと受け入れられていることがわかって、ほっとしたと同時にうれしく思う。本当のわたしを見てくれて、そして迎え入れてくれていることを。

「だから彼女と幸せになりなさい。絶対に手を放しちゃダメよ」

 真剣な目ではっきりと言われた。うれしさと同時に胸がチクリと痛む。

 こんなに温かく受け入れてくれている――けれど、わたしと紘也さんの関係は、やんごとなき事情からの嘘の婚約話なのだ。もし、元に戻ったらこの関係は解消される。

 だけど元に戻らなかったら?

 いつまでも彼の傍にいられるのだろうか?

 そんな自分勝手なことを考えているうちに、寝室から甲斐兄弟が出てきた。

「兄貴、明日香さんって結構おっぱい大きいね!」

「な、なに言って――!」

 わたしが真っ赤な顔で立ち上がると同時に、紘也さんが幹也さんの頭をバシッと叩いた。

「痛い! ひどい、明日香さん」

「あら、ごめんなさい。手が当たったみたい」
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