副社長と秘密の溺愛オフィス
 かくして――お母様が張り切って準備したお父様の誕生日会という名目の、わたしたちの婚約披露パーティが華々しく執り行われた。

 都内でも有数の五つ星ホテル。数々の芸能人の結婚披露宴や、サミットなどでも使われる会場には、親戚や取引先などの関係者が集まっている。

 きらきらと輝くシャンデリアの元、フォーマルな衣装を身に着けた男女がそれぞれ歓談をしていた。

「親父の誕生日パーティなんて、今まで還暦のときしかやったことないのに」

 ぶつくさと文句を言う紘也さんは、深紅のタイトなドレスを身につけていた。こんなに体のラインがはっきり出るドレスは、本来のわたしなら絶対選ばないデザインだ。 

 しかし幹也さんの作品であるこのドレスは、素人のわたしが見ても本当に素晴らしいものだ。決してスタイルの良くないわたしが着こなせているのだからすごいと思う。

 あとは、紘也さんのお陰かな。

 みかけは完全にわたしのなのだけれど、中身は紘也さんだ。生まれつきの所作が節々に感じられ、それが立派に見えた。ピシッとした姿勢で悠然として過ごす姿は、わたしでも見とれてしまう。

 彼の左手の薬指には、わたしと紘也さんの婚約の証である輝く大粒のダイヤモンドが輝いていた。

 ぼーっと見とれていると、彼がわたしの耳元で囁いた。
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