副社長と秘密の溺愛オフィス
おそらくわたしたちのやり取りを聞いていたのだろう。甲斐建設の息子――実質の跡取りの結婚が決まったということを。
近くにいた人が早速声を掛けてきた。たしか建築資材の商社の社長だ。
「甲斐社長、なにやらおめでたい話がきこえてきたんですが」
「あぁ、山内さん。いや実は息子が婚約しまして」
「どちらのお嬢さんですか?」
視線がチラッとわたしの隣に立つ柊也さんに向けられた。
やっぱりそうきた。誰もが紘也さんの相手はどこかの令嬢だと思っているのだろう。
「彼女は紘也の秘書なんです。ほら、明日香さんこちらにきてご挨拶を」
山内社長は一瞬驚いた顔をして、瞬時に品定めするような視線を紘也さんに向けた。察しのいい彼はその視線の意味を感じ取って、ほんの少し顔を曇らせたが気を取り直して、にっこりと笑顔を浮かべる。極上の営業スマイルだ。
「乾明日香です。以前一度ご挨拶をさせていただいたことがあるのですが」
「あぁ、思い出したよ。まさか君と紘也くんとね……」
その言葉の裏に色々な意味が込められていることぐらい、わたしにもわかる。
周囲の人からみれば、あきらかに釣り合いがとれていないのだからこういう反応にもなれないといけない。
近くにいた人が早速声を掛けてきた。たしか建築資材の商社の社長だ。
「甲斐社長、なにやらおめでたい話がきこえてきたんですが」
「あぁ、山内さん。いや実は息子が婚約しまして」
「どちらのお嬢さんですか?」
視線がチラッとわたしの隣に立つ柊也さんに向けられた。
やっぱりそうきた。誰もが紘也さんの相手はどこかの令嬢だと思っているのだろう。
「彼女は紘也の秘書なんです。ほら、明日香さんこちらにきてご挨拶を」
山内社長は一瞬驚いた顔をして、瞬時に品定めするような視線を紘也さんに向けた。察しのいい彼はその視線の意味を感じ取って、ほんの少し顔を曇らせたが気を取り直して、にっこりと笑顔を浮かべる。極上の営業スマイルだ。
「乾明日香です。以前一度ご挨拶をさせていただいたことがあるのですが」
「あぁ、思い出したよ。まさか君と紘也くんとね……」
その言葉の裏に色々な意味が込められていることぐらい、わたしにもわかる。
周囲の人からみれば、あきらかに釣り合いがとれていないのだからこういう反応にもなれないといけない。