運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「神鳥記念病院まで、お願いします」
ホテルの前からタクシーに乗り込んだ私は、迷わず行き先を告げた。
当直室に行けば、彼に会えるはず。患者さんの対応中で不在でも、戻ってくるまで待とう。
今日こそは、全部話してもらえるまで引き下がらない。
蘭子さんとの関係や、中谷総合病院にいたころの、数々のスキャンダルのこと。それに、早苗先生のことも――。
夜の病院はひっそりと静かだった。
あまり人に会わないルートを通って、七階建ての三階にある当直室を目指した。
「ここだ……」
ドアの前でごくっと唾をのみ、ドアを二回ノックする。中から「はい」と藍澤先生の声がして、少しガタガタと家具が動く音がした。
驚かせちゃったかな……? なんて思っていると、目の前のドアが静かに開いた。
「美琴ちゃん? どうしたの、今夜は確か院長とパーティーじゃ……」
顔を出したのは予想通り、かなり驚いた様子の藍澤先生。先日見たようなダークな色のシャツとスラックス姿で、白衣は羽織っていない。