運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
「……悪魔」
ぼそっと呟いた私に、ふたりが慌てた様子で次々取り繕う。
「違うよ、美琴ちゃん、きみが考えているようなことはしていない」
「そうよ、これには深いわけがあって……」
でも、その“わけ”は話してくれないんでしょ? もう、いいよ。何もないなら、クローゼットに隠れる必要だってなかったはずだもん。
早苗先生が辞めるのも、悪魔と深い仲になったから……そう考えればつじつまが合う。
あんなに敵対していた早苗先生まで骨抜きにしちゃうなんて、さすがは悪魔様。
「……帰ります。私」
大股で扉の方へ向かう途中、藍澤先生に手首をぐっとつかまれて引き留められた。
「なんですか」
振り向かずにそっけなく言った。藍澤先生は、珍しく焦った様子で懇願する。
「頼むから、話を聞いて。落ち着いて話せば、わかるはずだから」
「……いつも肝心なことをはぐらからかすくせに、浮気を疑われそうになったときだけ必死になるなんて見苦しいです。もう、あなたと話すことはありません」
「美琴ちゃん……」