運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


事情を知った真帆は、翌日すぐ自宅まで駆けつけてくれた。

自室のカーペットの上でしょぼんと体育座りする私の泣きはらした顔を見て、何も言わずぎゅっとハグしてくれる。その優しさに、情けない涙声が漏れる。


「……真帆ぉ。なんでこんなに涙出るの?」

「そりゃ、藍澤先生のことが好きだったからでしょ。男のことで涙を流す美琴は今まで見たことないもん」


あっさり断言され、深いため息がこぼれる。彼に惹かれていた自覚はあったけれど、浮気現場を目撃しただけでこんなにもショックだとは……。

真帆の言う通り、私は自分が思うよりずっと、彼に心を奪われていたんだな……。

でも、恋心に気付いた瞬間失恋決定って、つらすぎるよ。


「なんであんな人好きになったのかな」

「……美琴。いいんだよ、藍澤先生がどんなに悪い男だったとしても、好きになった自分まで否定しなくて」


真帆は、優しいなぁ……。自分まで否定しなくていい、か。

昨夜からずっと、ベネチア旅行以降の自分の行動を後悔してばかりだったから、じんわり胸に沁みる言葉だ。


「……そういえば、真帆はどうなの? サイボーグさんとその後の進展は」

「え、と……今の美琴には言いづらいな」


気まずそうに笑う真帆。そんな風にぼかされたら、逆に気になるって。しかもその言い方だといいニュースがありそうじゃない。


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