運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~
私は思い切って、真ん中からその紙をびりびりと破いた。それでも胸はスッとせず、さらに小さくなるように繰り返し紙を破いて、灰皿の中に婚姻届……そして私の初めての恋の残骸を入れていった。
真帆に見守られながらやがてその作業は終わり、灰皿の中にはちぎれた紙が山盛りになった。
続けてライターを手に取って点火し、そこに炎を近づけようとしたとき――ピンポーン、と家のチャイムが鳴り、私は一瞬固まった。
「……お客さん?」
「かな……ちょっと待ってて」
両親は母の風邪をみてもらうために病院へ出掛けているから、私が対応するしかない。
仕方なく婚姻届の処理を中断して一階に降り、ダイニングの壁にあるモニターからお客さんの姿を確認した。
宅配業者か何かだと予想していたけれど、そこにいたのは――。
「早苗先生……」
一瞬にして胸に動揺が走り、モニターを凝視してしまう。
どうして先生がここに? もしかして、昨夜の弁解に? だとしてもそんなの、聞きたくないよ……。
私はとりあえずインターホンのマイク越しに、淡々と対応した。