運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


ダメなんだってば、藍澤先生のキス……心地よすぎて、理性が飛んじゃう。

そんなことを思いながらぎこちなくキスに応えつつ、トロンとした瞳を彼へ向ける。すると、ケモノのように鋭さを増した薄茶色の瞳と視線が絡んだ。

ドキン、と心臓が大きく跳ねるのと同時に、キスのレベルがまた一段と深いものに変わった。


「ふ……んぅ」


ぬるりと忍び込んできた舌に、思わず甘い声がこぼれてしまう。

や、やだ……工藤さんと蘭子さんが見てるのに、なんてはしたない声を……! っていうか藍澤先生、いったいどこまでするつもり……?

一抹の不安が胸をかすめながらも、キスですっかり蕩かされてしまった私は、腰が砕ける寸前。

けれどそれを許さないように藍澤先生の手にぐっと腰を支えられ、何が何だかわからなくなるほどに、夢中で唇を合わせていた。

わずか数分のことだと思うけれど、いつしか他人の目があることなんて忘れてしまうくらい、濡れたリップ音と私たちの吐息以外、何も聞こえない世界にどっぷり浸ってしまっていた。

そんな私の耳に、やがて工藤さんの敗北宣言が聞こえて。


「……僕たちの、負けです」


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