運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


やっと訪れた二人きりの時間。

改めて正面から向き合った私たちは、静かにお互いを見つめた。藍澤先生は穏やかな瞳に私を映しながら、おもむろにこんな話をした。


「俺さ……美琴ちゃんと出会うまで、恋愛や結婚は“サービス精神”が大事なんだと思ってたんだ」

「サービス……精神?」

「そ。常に褒めて、記念日にはプレゼントをかかさず、愛情表現は惜しまずたっぷりしてあげる。女の子って、それだけしてれば喜ぶ生き物なんだと思ってた」


……なるほど。サービス精神ってそういうことか。それ“だけ”というのが引っ掛かるけれど、確かにそんな風に愛されて喜ばない女性はいないと思う。でも、“私と出会うまで”――ってことは、今は違う考えなのだろうか。


「前に美琴ちゃん、“どうして医者になろうと思ったのか”って俺に聞いてきたでしょ? それって、他の女の子たちにも結構聞かれたことがあって、いつも似たような台詞で答えるわけだよ。実家が病院で、両親も医者だから~って」


その会話は私も覚えている。箱根の旅館で体調を崩した時、藍澤先生の内面が知りたくて、私から投げかけた質問だ。


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