運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


「はい。ふつつかものですが、よろしくお願いします」


少し緊張しながらも、迷いはなかった。はにかんで頭を下げた私を、藍澤先生は再び抱き寄せてその腕にぎゅっと力を込める。

その窮屈さがとても幸せで、私はゆっくりまぶたを閉じ――けれどその途中であることを思い出し、カッと目を見開く。


「忘れてました、藍澤先生……! 私、婚姻届、修復不可能なくらいびりびりに破いちゃったんでした……」

「えっ。またどうして……」

「昨夜の早苗先生とのこと、誤解して……」


彼は真面目に仕事をしていただけなのに、私ってば本当に早とちりだ。

泣きそうになりながら何度も平謝りしたけれど、藍澤先生は「いや、誤解されるような態度取った俺も悪いし」と笑って許してくれる。

優しいな……素の彼はやっぱり悪魔なんかじゃない。そう、再確認して心がほっこりしていたその時。


「こんなこともあろうかと、予備がもう一枚あるしね。もちろん、記入済みで」

「えっ」


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