運命的政略結婚~白衣の悪魔に魅入られて~


藍澤先生はしたり顔だけれど、私は意表を突かれて固まる。

こ、婚姻届って……そんな何枚も用意しておくもの? しかも“記入済み”って、どんだけ用意周到なんですか。うちの両親も、そこでどうして協力しちゃうんだか……。


「やっぱり、私たちの結婚には何か裏が……」

「ん? あったとしてももう逃がさないよ。美琴ちゃんはさっきちゃーんと承諾してくれたはずだし。……なーんて。嘘だよ。ただ、きみを逃がしたくないだけ」


冗談交じりに言われて、肩の力が抜ける。

まったく……本性は悪魔じゃないにしろ、悪魔の仮面をかぶるクセは、なかなか抜けないみたいだ。とういか、わざとかぶって楽しんでる?


「逃げませんよ、私は」

「うん、わかってる。……俺だって逃がすもんか。こんなに愛しく思える相手を」


そう言うと、藍澤先生は燃えるような、情熱的な瞳で私を見つめた。

その強い引力に吸い込まれるようにして、私たちはどちらからともなく唇を合わせる。


いつか、私たちの結婚は“運命的政略結婚”だった、と胸を張って言える将来を思い描いて――。


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